知って得する

2018/02/28

小児科医・内科医 倉信 均

恐い子どもの便秘❶

❶はじめに
今回から、子どもの便秘について話していきたいと思います。平成28年のNPO法人の調査では「小学生の5人に1人が便秘」であることがわかりました。また、多くの乳幼児を抱える親も便秘に悩んでいます。排泄のしくみについて説明し次に便秘が起きる原因・治療について説明していきます。

❷便たまり倒れた
午後の診療時間に決まって園児を抱えた保母さんが飛び込んできます。「先生熱はないのですが、お腹が痛くて転げまわっています」診察するとお腹はパンパン、左下腹部に圧痛があります。すぐに便秘と判断、浣腸すると痛みは劇的におさまり、すっきりした顔でトイレから出てきます。
一方加藤葵ちゃん(仮名)は、生後6か月を超える頃より、便秘がひどくなりました。5日間排便しないことは普通で、時々7日間も便が出ないこともありました。ひどいときは、診療所で浣腸してもらいました。余りに便秘が続くので、毎日下剤を服用するように診療所で指示されていました。しかし、葵君は薬が嫌いで飲んでいませんでした。
3歳を過ぎて、ますます便秘がひどくなりました。浣腸してもらうことが多くなり、葵君は診療所に行くことを嫌がるようになりました。親に言わないで我慢するようになりました。
そのうち、肛門から便が少しずつ漏れるようになりました。親は、便が出ていることを喜んでいたのですが、事実は、便が腸に収まりきれなくなり、本人の意思とは関係なく、便が漏れ出ていたのです。重症の便秘で危うく手術が必要になるところでした。現在は、毎日下剤を飲みながら、元気に通学しています。

❸排便のしくみ
便は、食べたものが食道・胃・小腸・大腸などの消化管を通るうちに、消化管の働きにより消化・分解・吸収された残りです。食物は口から入って約4~15時間で大腸まで運ばれます。その後10時間かけて水分が吸収され、24~72時間後に肛門から排出されます。
便が溜まるのは、大腸のS状結腸です。胃に次の食物が入ってくると、S状結腸に溜まっていた便は、直腸に運ばれます。そこで圧力がかかり、大脳皮質に信号が伝わり「うんちしたい」となるのです。
その「したい気持ち」が再び大脳に伝わり直腸でぜん動運動が起こります。同時に肛門筋が緩んで腹圧がかかり、便は排出されます。

❹便秘が起こるわけ
便秘症とは、便が長い間出なかったり、出にくいことを言います。一般に5日間以上便が出なかったり、毎日出ていても、排便する時痛がったり、便が硬いため、肛門が切れて出血している場合も便秘です。
硬い便をして肛門が切れたりすると、痛みがあるため次の排便を我慢したり、痛みをこらえながら少しずつ排便するようになります。
このようなことが重なると大腸に便が溜まってきます。大腸は、便から水分を吸収するのが仕事ですから、どんどん便は硬くなり、出にくくなります。
肛門の痛みも増してきます。ますます我慢するという悪循環が起きます。
習慣化すると、常に直腸に便がある状態が続くことになり、直腸は拡大します。大腸が便に対しだんだん鈍感になります。便秘でない人は、便が溜まると便意をもよおし、トイレに行きたくなりますが、便意が起こらないため直腸に多量の便が溜まり、しかも便が硬くなります。このようにして重症の便秘に移行していくことになります。