知って得する | 恐い子どもの便秘❷

2018/03/21

小児科医・内科医 倉信 均

1. はじめに
 前回の恐い便秘の話しでは、「排便のしくみ」と「便秘が起こるわけ」について書きました。今回は「便秘ですぐに受診した方がいいのは、どんなとき」「学校では排便したがらない児童が増えている」「習慣性便秘の治療」について書きます。

2. 便秘ですぐに受診した方がいいのはどんなとき
 次のような症状があれば「たかが便秘で病院に行くのもな?」などと逡巡せず、すぐに受診してください。
①機嫌が悪くお腹が張っている
 オムツもきれいで授乳したばかり、なのに機嫌が悪くお腹が張っている。お腹を触っただけで激しく泣く、このような場合は、もちろん便秘が考えられますがその他に腸の異常も考えられます。
②食欲がない・すぐに吐いてしまう
 便秘が続いている状態で、食欲がなく何度も嘔吐しているなら、便秘のひどい状態が考えられます。体重が増えなくなりますし、栄養が摂れなくなってしまいます。
③排便の時泣いてしまう
 便秘が続くと便は硬くなり、それをいきんで出すと肛門が傷つくことがあります。ひどいときは出血します。痛くてますます便秘がひどくなります。排便時に機嫌が悪かったり泣く場合、肛門を観察することも必要です。
④頻回に続く便秘
 たびたび便秘になる場合、まれに「ヒルシュプルング病」という、先天的に腸がうまく動かない病気が隠れていることがあります。重い「ヒルシュプルング病の場合は、生後すぐに発見できます。しかし、部分的で軽いと発見されにくい場合があるので注意が必要です。

3. 学校で排便したがらない子どもが増えています
前回登場したNPO法人「日本トイレ研究所」の調査では、小学校での排便を我慢している児童が多いようです。約半数が「ほとんどしない」「まったくしない」と回答。我慢することが「よくある」「ときどきある」も52.8%にのぼった。学年が上がるほど、排便の時は人目を気にして、人が少ないトイレや教室から離れた所を選ぶ傾向が強かった。日本トイレ研究所の代表理事は、「自宅では洋式のトイレを使って いる児童が多い。学校では不慣れな和式だと排便を我慢する児童がいるのも、1つの要因と考えられる」と指摘しています。
 全国では、学校のトイレを換える取り組みも始まっています。例えば男女とも個室にしたり、全て洋式にしたり、一部には水を流す音が出る擬音装置や温水洗浄便座も付けたところもあります。児童がすっきり排便するための環境を整えることは必要なことです。
 いずれにしても、学校での排便を我慢しているか否か、親子で話し合ってみる事も必要ではないかと考えます。

4. 習慣性便秘の治療
 腸や身体の部分に異常のない習慣性便秘についての治療は、原則として次の5点が重要です。
①早寝早起きなど規則正しい生活をする
②「便意が無くても決まった時間にトイレに行く」という排便習慣を確立する
 朝、空っぽの胃の中に食べ物が入ることで、消化吸収された「残りかす」を押し出そうと腸が動き出します。1日の中でも一番激しく腸が運動するその時に、排便することが必要です。但し朝食の後30分以上しないと排便に至らないので、早起きが必要です。
③バランスの摂れた食事をし、特に食物繊維を多く摂る。
 食物繊維は人の消化酵素では消化(分解)されない食物成分で、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があります。
●不溶性食物繊維は野菜に多く含まれており、大腸で水を吸収することで便が重くなり排便が促され便の腸内通過時間が短縮されます。
●水溶性食物繊維は、海藻類に多く含まれています。腸内での糖質の消化速度を遅らせ、糖質の吸収を抑制する働きがあります。また、腸内でコレステロールの排泄を促進させる働きがあります。
④軽い運動で良いので、出来るだけ身体を動かすようにする
⑤「トイレを明るく楽しい場所にして、恐怖心をなくす」など排便を我慢しないよう工夫する。
 以上の治療で便秘の改善が見られない場合薬物治療が必要です。診療所の先生と相談してください。